グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



TOP >  対象疾患について

対象疾患について



アデノシンデアミナーゼ(ADA)
欠損症による重症複合免疫不全症(SCID)

どんな病気なの?

生まれつきの免疫の異常により、血液内の免疫にかかわる細胞のTリンパ球がほとんど存在せず、病原体に対する抗体をつくるBリンパ球も機能しなくなることにより、病原体から体を守ることができず感染症を繰り返す病気です。

具体的な症状・特徴

  • 生後早期はほとんどの赤ちゃんで症状がみられず、検査を受けなければ健康な赤ちゃんと見分けることはできません。
  • 乳児期早期に、肺炎、敗血症、胃腸炎などの重篤な感染症にかかり繰り返します。
  • 慢性の下痢・吸収障害のため、体重の増えが悪くなることがあります。
  • 重篤な肺炎や敗血症で発症し、診断が遅れて適切な治療が受けられないまま亡くなられてしまうことがあります。
  • 症状が出て診断される前に、生ワクチン(ロタウイルスワクチン、BCGワクチンなど)を接種してしまう可能性があります。
  • 重症複合免疫不全症の赤ちゃんに、このような生ワクチンを接種してしまうと、命にかかわる重篤な副反応を引き起こす可能があります。

重症複合免疫不全症は適切な早期治療を受けなければ1歳までに亡くなる確率の高い病気です。発見が遅れBCGなどの生ワクチンを接種した場合、非常に危険な状態に陥ります。
ADA欠損症はSCIDを生じる疾患の一つですが、国と自治体が実証事業として行うSCIDスクリーニング検査では見逃される可能性があります。
我々は異なる検査方法によって個別にこの疾患の検査を行なっております。
早く見つけることができれば、治療ができます。
SCIDの原因となるADA欠損症の検査を受けましょう!

ライソゾーム病

どんな病気なの?

「ライソゾーム」とはヒトの細胞のなかにある袋のようなもので、いらなくなった物質を分解して排出する働きがあります。ライソゾームの中には多くの「酵素」と呼ばれるたんぱく質があり、これらの酵素の働きで不要になった脂質や糖質などの物質を分解します。
ライソゾーム中の酵素が働かなかったり、働きが悪くなったりすると、分解されるべき物質が消化できなくなり、細胞内に蓄積してしまいます。これによって細胞がうまく機能しなくなり発症する病気をまとめでライソゾーム病といいます。

ライソゾーム病としては約60疾患が知られていますが、この中には、近年の医学の進歩により新しい治療法が開発されたものがあり、生後できるだけ早い時期に病気を見つけて治療を始めることで症状の進行や発生が予防できることがわかってきました。
このため愛知県ではポンぺ病・ファブリー病・ムコ多糖症Ⅰ型、Ⅱ型の4種類のライソゾーム病についての検査を開始しました。

 

ポンぺ病
ライソゾーム中の酸性αグルコシダーゼという酵素の動きが悪くなり、グリコーゲンという物質が蓄積してしまう病気です。

具体的な症状・特徴

  • 筋肉の力が弱くなるため、寝返りやお座り、ハイハイ、歩行などの運動機能の発達に遅れが見られます。
  • 呼吸筋が弱くなって呼吸しにくくなったり、眠っている間に時々呼吸が止まってしまうため(睡眠時無呼吸症候群)、起床時頭痛があることがあります。
  • 心臓が大きくなって、不整脈や心不全など、心臓に障害を起こすことがあります。
  • また、食べ物を飲み込むときに必要な筋肉が弱いため、食べ物が気管に入って肺炎を起こすことがあります。

最もひどいタイプである「乳児型」では心臓肥大や呼吸障害を生後数か月から発症し、人工呼吸器が必要となったり心不全のために死にも至るような重篤な疾患です。これより軽い「遅発型」は幼児期以降に筋力低下などの症状で発症するものです。乳児型のほうが遅発型よりも珍しいのですが、生後すぐに検査をして発見し早期に治療開始すれば、病気の進行を止めるかあるいは遅らせることができることがわかってきました。
 

ファブリー病
ライソゾーム酵素の一種であるαガラクトシダーゼという酵素の働きが悪くなることで全身の組織に異常物質が蓄積する病気です。

具体的な症状・特徴

  • 手足の痛み
  • 心臓、脳血管、眼の症状などをきたします。
  • 性染色体遺伝性疾患のため男児に発症しますが、女性でも成人期以降に症状が出てくることが知られています。
  • 症状の発生は5、6歳以降ですので、マススクリーニング検査で発見されても直ちに治療することはなく、症状の発生などを注意深く観察し治療開始時期を決定します。

女児ではマススクリーニング検査で正常でも、思春期~成人期以降に発症する事があるためマススクリーニング検査では男児のみを対象にします。
 

ムコ多糖症Ⅰ型、Ⅱ型
Ⅰ型はα-L-イズロニダーゼ、Ⅱ型はイズロネートスルファターゼというライソゾーム酵素の異常により、どちらもムコ多糖という物質が蓄積することで発生する疾患です。

具体的な症状・特徴

  • 中耳炎、関節拘縮、特異顔貌
  • 白内障(Ⅱ型では認めない)
  • 呼吸障害、心臓弁膜症、成長発達障害などをきたす進行性の疾患です。

Ⅰ型は男女差はありませんが、Ⅱ型は性染色体遺伝性疾患のためほとんど男児のみに発症します。
早期に発見して酵素補充療法や造血幹細胞移植を行うことで症状の進行を予防したり遅らせたりすることが期待できます。
 

■ライソゾーム病の注意点

いずれの疾患も、検査の性質上、正常の方や治療の必要のないごく軽症の患者さんが見つかる場合があります。また、この検査で異常が見つからなかった場合でも疾患が完全に否定されるわけではありません。特にファブリー病の場合、女児ではマススクリーニング検査で正常でも、思春期~成人期以降に発症することがあります。
一方で重症患者さんの場合、ごく早期から治療を開始しても症状が進行してしまうこともあります。
しかし、いずれの病気も診断が難しいため長年診断されずに治療が遅れてしまっていた患者さんも報告されています。この検査によってできるだけ早期に病気を見つけ適切な対応を行うことが可能となります。

ライソゾーム病は診断が大変難しい病気です。放っておくと、どんどん症状が進行していきます。
“大切なお子さま”をまもるためにライソゾーム病の検査を受けましょう!

副腎白質ジストロフィー (ALD)

どんな病気なの?

ペルオキシソーム病の一種でほどんどは男児に発症します。いくつかの病型が知られていますが、重症の小児大脳型では脳などの神経細胞、神経線維が変性を起こしたり、体に必要なホルモンを作る副腎と呼ばれる内臓の障害が起きて、知能の低下、行動の異常、運動能力や視力の低下などが急速に進行します。

治療をしないと症状がみられ始めてから1~2年で寝たきりになってしまいますが、発症早期に造血幹細胞移植などの治療を行うことで症状の予防・軽減が可能となります。
症状が出てから検査、診断していては病状が進行してしまうため、新しい新生児マススクリーニング検査ではあらかじめ診断し定期的にMRI検査を行い発症していないか確認していきます。ただし本症と診断されても必ずしも異常が出現するわけではありません。
マススクリーニング検査では男児のみを対象にします。
 

治療法

発症後できるだけ早期に造血幹細胞移植を行うことで症状の進行を抑えることができます。
症状が出てからでは効果が十分期待できないことがありますので、定期的にMRI検査を行い、異常が出た段階で速やかに造血幹細胞移植を検討することが重要です。
早期に発見して適切な治療を行うことが何よりも大切です。